04:からだが語る気もちシリーズ 「頭痛」
病院にかかるほどではないが、時々現れるからだの症状がいくつかあると思います。そんなからだの症状の中には、こころの感じる「気もち」と関連のあるように思われるものもあります。こころとからだ両面の視点から、お話してみたいと思います。
まずはからだの上の方から、という訳で、頭痛の話からはじめましょう。CMにも、頭痛薬がよく登場するように、頻度の高い症状の一つです。しかし、一口に頭が痛い、と言っても、そのあらわれ方はさまざまです。
突然、殴られるように、経験したことのない痛みが襲ってきたとすれば、それは、「気もち」がどうこう言っている場合ではありません、すぐに大きな病院を受診してください。頭痛で一番恐ろしいものの一つは「クモ膜下出血」で、命に関わるものです。
比較的多く訴えられる頭痛には二通りあります。こめかみのあたりが脈打つような「ズキズキ」がひとつ。もうひとつは、首の後ろ、後頭部が締めつけられるような「ずーん」という痛みです。前者は片頭痛の痛み、後者は筋緊張性頭痛の痛みであることが多いようです。この二つの痛みの両方が起こる、混合性のタイプの頭痛もあります。どちらにも痛み止めの薬は効きますが、痛み止めの乱用が、かえって頭痛を起こす場合もあり、薬の使い方には注意が必要です。片頭痛の痛みは血管の収縮と関連しており、近年よく効く専用の痛み止めも出ています(処方箋が必要です)。筋緊張性の頭痛は文字通り肩こりなどから起こるので、作業中の軽い体操や、入浴で血行を良くすることも予防につながります。
どちらも血管や筋肉といった、からだの一部の収縮や緊張から痛みが起こっているのですが、その人の心の状態も関係していることがあります。どのようなときでしょうか。何かに悩み思い煩うことを「頭が痛い」と言ったりもしますね。職場の部下の指導がうまく行かず、同僚と部下の板挟みに合っているとき、「まったくアイツは頭痛の種だ」なんて内心ぼやいているときがあります。しかし、職場で頭痛が起こるかというとそれだけではなく、意外かもしれませんが、「やっとアイツの世話から解放された!」と帰宅した後、さらには週末の方が頭痛は起こりやすいのです。
「片頭痛」の痛みは、週末など、緊張から解放されたときに激しい発作が起きる場合があります。片頭痛の痛みが血管の収縮と関係あるといったことと考えあわせると、頭に乗っていた「頭痛のタネ」の重さが外れたときに血管を勢いよく血液が流れ出し、その血管の動きで頭痛がおこるとイメージすることができます。一方、「筋緊張性頭痛」は、「頭痛のタネ」にの重さにじっと耐え、身体を固くした結果が肩こり、頭痛と広がっていくといえましょう。
「頭痛のタネ」はその重さゆえか、何がタネになっているのか本人がうすうすわかっていることが多いようです。その対処法が一人で「耐える」「じっとやり過ごす」しかない場合には頭痛に進展しやすいように思います。「耐えない」「やり過ごさない」今までと違う「タネ」との付き合い方が、頭痛の解消やその付き合い方も変えるかもしれません。
“からだ”をよく見極めて、そのタイプに合わせて生活習慣を見直し、薬などを上手に使うこと、そして、“こころ”の「頭痛のタネ」を解決したり、タネが芽を出さないようにすること、この2つの視点が、頭痛とつきあいやすくなる上で、大切なのです。
(鈴木)
2010.09.01